世の中には適応障害やうつ病といった精神疾患に悩む人が多くいます。
ただ逆に、精神疾患になったことのない人は、「自分はそんな病気にかかるわけがない」と思っている人が多いです。実際私も、自分に精神疾患は無縁だと思っていました。
ただ私は30歳にして初めて精神疾患になり、歩んでいた順調なキャリアは崩れ、絶望しました。
そんな私ですが、営業スキルのおかげで立ち直り、今は個人事業主として家族を支えています。
今回の記事では、適応障害やうつ病といった精神疾患に悩む人向けに、営業という一つの選択肢を示したいと思っています。
最初にお伝えしますが、営業が絶対の答えではありません。ただ新しい選択肢にはなります。悩んでいる人は、自分の新しい可能性を見つけるつもりで是非この記事を読んでみてください。
営業は精神疾患(適応障害やうつ病)になりやすいのか
さっそくこの記事の導入部分とは正反対のことを言っているような見出しになっています。
ただやはり営業というと、
- 精神的にタフな人がやるイメージ
- 営業が辛くて、うつ病になるという話も多い
というようなイメージが世間一般的に多いと思います。これは正しくもあり、誤りでもあります。
実際に営業を生業としている身として、営業の辛い面も楽しい面も分かっています。どちらかに偏らず、正しくどちらの面もご紹介していきます。
一般的にはキツイ仕事として扱われている
営業職と聞いて、楽そうな仕事とイメージする人は少ないです。
- 毎月のノルマに追われている、ノルマがきつい
- 日中は営業活動、定時後に報告など、毎日残業している
- 休日でもお客様からの連絡があれば仕事をしなければならない
などなど、営業の悪いイメージを上げればキリがないです。そして、会社によってはこれら全てが当たり前のように事実として存在しています。
ただし、この令和の時代にこのような環境で仕事をしている人は少ない、あるいは給料や出世のためにあえてそのような働き方をしている人が多いです。
よって実際は他の業務に比べて、極端に営業の労働環境が悪いという時代ではなくなっています。
私のように営業力に人生を救われる人もいる
詳しくはこの後後述しますが、私は30歳の時に適応障害となり、それまでのキャリアを捨てることになりました。
その当時はとても辛く、自分の30年間全てが無駄になったような気さえしていました。
ただそんな時、私を救ってくれたのが営業力であり、営業という仕事でした。
当時の私は何の準備もしていない、心構えすらもできていない状況でした。突然のキャリア終了、無職という状態にまで落ち込みました。ただそこから現在まで、営業力を使って個人事業主として働き、家族を支えることができています。
営業=辛いというイメージから、精神疾患から回復した後のキャリア選択から外している人も多いと思います。ただ私のように営業で救われた人がいる、営業は選択肢の一つになり得るのだと皆さんには分かって欲しいと思っています。
このブログのコンセプトの通り、営業力は大きな可能性を秘めています。今落ち込んでいる人にこそ、その事実を知って欲しいです。
精神疾患(特に適応障害)とはどのような病気なのか
ここからは、精神疾患(特に適応障害)がどのよな病気なのかをご説明します。
すでに適応障害と診断を受けている人以外にも、自分は精神疾患ではないかと悩んでいる人もいると思います。
本来であれば病院の受診をおすすめしていますが、中々勇気が出ない方のために、簡単に特徴をご説明します。
一般的な適応障害とは
ICD-10(世界保健機関の診断ガイドライン)では以下のような特徴が説明されていいます。
- ストレス因により引き起こされる情緒面や行動面の症状で、社会的機能が著しく障害されている状態
- 通常生活の変化やストレス性の出来事が生じて上記のような症状が1カ月以内にあり、ストレスが終結してから6カ月以上症状が持続することはない※ストレスが慢性的に続いている場合は症状も慢性的に続く傾向にある
要するに、ある特定の状況や出来事がストレスとなり、体や心の症状に現れることを指します。このストレスとなる状況や出来事、症状は人によって千差万別です。例えば以下のような例があります。
- ストレスの原因
- 環境の変化:転職や転勤など
- 人間関係の変化:上司が変わる、結婚する、子どもが生まれるなど
- 社会の変化:コロナによる社会の変化や災害による被害など
- 症状
- 体の症状:不眠、食欲不振、動悸、涙が出るなど
- 心の症状:やる気が出ない、過度な不安、落ち込むなど
結婚や子どもが生まれるというのは一般的には喜ばしいことですが、それによって責任を感じたり、自分に過度なプレッシャーがかかることで、これまでできていたことをストレスに感じ追い詰められてしまうこともあります。よって何がその人に影響を与えるかははっきりと分類ができないというのが正直なところです。症状についてもあくまでも例のため、当てはまらないと適応障害にはならないということはなく、医師の診断をもとに判断をする必要があります。
このような原因から、10代20代では問題がなかった人が、30代40代になり、結婚や昇進など公私ともに責任が増え、環境が変わることで精神疾患を患う人が増えているとも言われています。
よって、突然の精神疾患はおかしなことではなく、誰にでも起こり得ることとして捉えてもらえると気持ちが楽になるかと思います。
適応障害とうつ病の違い
自分の心や体に異変を感じた際、一番最初に疑いたくなるのが「うつ病」だと思います。この「うつ病」と「適応障害」の違いは一般的に以下のように言われます。
適応障害 | うつ病 |
---|---|
発症の引き金がある | 発生の引き金がないことが多い |
ストレスを感じるとすぐに発症し、ストレスを取り除けば回復する | 長期的なストレスによって発症し、ストレスを取り除いてもすぐには回復しない。 |
うつ状態があっても、自分が好きなことは楽しめる | うつ状態があると、自分が好きなことも楽しめない |
性格の特徴はない | メランコリー親和型の性格が多い※1 |
※1
35才から50才頃に多く、仕事熱心、他人のために尽くす、規則を重んじる、まじめ、几帳面などの性格という一方で柔軟性に欠けることもあると言われている。
このように「うつ病」と「適応障害」には発症原因や治療期間に差は見られますが、症状については違いはほとんど見られないため、混在して考えられやすいです。加えて、適応障害が長期化しうつ病と診断されることもあり、その病気の境界は非常に曖昧なものとなっています。
適応障害のよくある間違い
適応障害はこの名称から、「あらゆる環境に適応できない人」というよな勘違いを生みやすい症状だと思います。私自身、病院でこの病名を診断されたとき、私はどんな環境にも適応ができない、社会不適合者と診断されたと思い非常にショックを受けました。ただこの適応障害は、特定の原因に対する「心のアレルギー反応」のようなもので、あくまで特定の環境や状況でのみ発生します。なので自分が診断をされた時、周りでそのような診断をされた人がいるとき、今は心のアレルギー反応が出ていて、一時的に休息が必要だと理解していただければと思います。
私の場合の原因と症状
ここからは、実際に私が適応障害になった原因と、症状をご説明します。
実際の例を見ていただくことで、営業が皆さんの選択肢になり得るのか、参考にしていただければと思います。
※少々長くなりますので、私の経験については不要であれば読み飛ばしてもらっても問題ありません。
私のこれまでの経歴
- 私は現在31歳で妻と子どもが一人います。
- 大学生の頃は1年間海外で過ごすなど、アクティブに動いて居ました。
- 大学を卒業後、プライム市場に上場している日系企業で7年間働き、その後外資系コンサルティングファーム(以下コンサル)に転職。
- コンサルに転職後、適応障害を発症し半年で退職。その後個人事業主として独立。
以上のように私は転職した際に適応障害を発症しましたが、学生時代、日系企業で就業時、全くと言って良いほど精神疾患とは無縁でした。日系企業では営業やシステム開発といった、対人関係が重要で、数字のプレッシャー、納期やバグ対応のプレッシャーに晒される業務を経験し、時には朝4時まで働き、翌日9時に出社するなどハードに働いていました。そんな中でも仕事が楽しく、厳しい環境で成長できる自信があり、ストレス耐性が高い人間だと思っていました。
適応障害になった原因
30年間精神疾患とは無縁で生きてきた私が、コンサル転職後わずか半年で退職するほど精神的には追い詰められました。守秘義務の関係で詳しい業務内容までは記載できないですが、どのような流れで私が適応障害を発症したのか、転職後の業務の流れとに合わせてご説明します。
適応障害の原因は千差万別ですが、いざ自分が適応障害になると実際の体験談や、自分だけが発病するわけではないという精神的な余裕が欲しくなります(私はなりました)。
また、こんな状態からでも営業で立ち直れる、という一つの事例として参考にしていただければと思います。
プロジェクトアサインまで
コンサルでは、部署単位で何かを行うことは少なく基本的には担当するプロジェクト単位で動きます。
中途入社のメンバーはまず入社オリエンテーション→プロジェクトへアサインされるという流れになります。
私の入社したコンサルでは、入社式と入社オリエンテーション(半日)以外は全て在宅かつ動画研修のみでした。事前録画の動画を見るだけの研修を1週間こなすため、コンサルとしてのリアルな働き方は得られず、あくまで机上ベースでの学びとなります。研修の動画は1ヶ月分用意されており個人のペースで進めていく形になっていますが、一週間後にはプロジェクトアサインが決まっているため、実質一週間動画を見た知識のみで現場にプロのコンサルとして配属されます。
※コンサルは階級によって時間単価が決まっており、新人価格は存在しません。同じ階級であればコンサル数年目も新人も同じ時間単価のため、アサインされた瞬間からプロのコンサルとなります。そのため、経験年数を聞かれても濁して答えるように研修で教えられています。
プロジェクトアサイン後
プロジェクトアサイン後はコンサルの働き方をわかった前提で、アサイン先のプロジェクトのキャッチアップを求められます。アサイン先のプロジェクトは全くの未経験分野+法律知識も求められる分野でしたが、そんなことはクライアント様には関係ありません。
アサイン先のトレーナーは動画研修のことは把握しておらず、プロジェクト業務100%でタスクが振られます。
よってプロジェクト業務+業務終了後に動画研修とプロジェクトに必要な知識をインプットする生活が始まります。
以下は私が適応障害を発症した原因と思われる内容を抜粋して記載します。全て記載すると膨大になるため、ある程度絞って記載します。その時の心情も併せて記載しますが、適応障害の治療のために当時の心情の振り返りをしているため、後からの振り返りも入っている可能性があることをご了承ください。(治療については別記事で記載します。)
- 私のプロジェクトはお客様先への常駐案件のため、全てのメールやMTGが対クライアントになり、全ての言動が厳しくチェックされるようになりました。これまで7年間経験してきた業務は全て無駄だったと思えるほどのレビューで、何が正しく、何が正しくないのかわからなくなり、自分の行動は全て間違っていると思うようになりました。
- コンサルとしての振る舞いだけでなく、キャッチアップの遅さも指摘され、毎日1時間以上叱られるような毎日が続いた。常駐案件とはいえ、2日間は出社、3日間はリモートワークでお客様先環境で就業となっており、家で妻や子どもがいる中1時間以上叱られていた。※この時PCの不調のため、イヤホンが使用できず会話は全て家族に聞こえる状態。
家族は気にしないといってくれていたが、ビジネスマンとしてではなく、夫や父としての尊厳も全て失われるような感覚と家族に対し情けない自分を申し訳なく思うようになりました。 - 以上のような状況となり、コンサルとして時間をかけるべき部分、手を抜くべき部分もわからず、全ての行動に指摘が入り、ありとあらゆることに自信がなくなり萎縮し、思考もできないような状況となりました。
- 休日に一人で外出している時も、マイナスな思考や不安に押し潰されそうになり、思考を止めたくても止められない状態に陥り、どこかに消えてしまいたいと無意識に考えるようになりました。
- こんな状況でも、できないのは全て能力のない自分のせいで、指導してもらえるだけありがたい。こんな状況でこそ成長できるし、していくべき。という考えになり、誰にも相談できないまま過ごした。
そんな状態の中、ある日の打ち合わせで徹底的に詰められ、存在価値がないと言われたように感じ、打ち合わせ終了後に涙が止まらなくなりました。
ただ今であれば言い方や指示の仕方にも問題あるのでは?と思えますが、その当時は相手には全く非がなく、悪いの仕事のできない自分だと、悪い方向で自責の念が強すぎました。
適応障害を発症時
かなり落ち込みつつ業務を終えましたが、これまでも毎日落ち込みながら仕事を終え、翌日にはまた切り替えて業務に臨めていたため、同じように仕事を始められるだろうと思っていましたが、発症した際の朝はいつもと様子が異なりました。
- リモートで業務を開始するためにPCを開くと、何も意識していないのに涙が止まらない状況になりました。
- その日は休暇をもらったが、そこから数日間常に気分が落ち込み、突然涙が出る状況が続きました。
- 産業医面談を実施し、その後病院を受診し適応障害を発生
- 病院で性格診断や症状の説明を実施し、適応障害と診断された。
このように適応障害と診断され私は休職を選択することになりました。
精神疾患経験者と営業について
では最後に、精神疾患になった人に営業が向いているのか、向いていないのか、という点について説明します。
医者ではないので、プロの話ではないですが、実際に経験した人の話として、プロとは違った視点でお話しできればと思います。
適応障害やうつ病になった背景が重要
まず大前提として、適応障害やうつ病になった背景が非常に重要です。
- 30歳になるまで、適応障害やうつ病といった精神疾患の経験はなし
- 仕事においても問題なく働けていた経験がある
- ある職場で突然適応障害を発症した
これが私の状態でした。正直適応障害になった後は、営業なんて仕事は無理だと思っていました。
今の自分に、営業のプレッシャーはきつすぎる、というのが最初の思いでした。
しかしいざ飛び込んでみると、営業の仕事は自分に合っていました。
なぜなら、「ずっと同じ人と関わり合っていく仕事ではないから」です。長期的にずっと同じ人と一緒に働く場合、また合わなかったどうしようというプレッシャーがありますが、営業は関わる人が常に変わります。
それをプレッシャーと感じる人もいれば、逃げ道があると考えられる人もいます。(私は後者)
よって今悩んでいる人は、自分の悩みがどこから来ているのかに向き合うことが大切になります。
全ての人におすすめではないが、おすすめできる人もいる
ここまで話した通り、営業は決して楽な仕事ではありません。
プレッシャーが大きいと感じる人、新しい人との出会いが怖い人もいると思います。
ただ私のように、営業という職業にこそ、多くの逃げ道があると思えるタイプの人もいます。
そんな人には営業職は非序にお勧めです。そして、営業スキルを身につければ、私のように企業に属さず、自分で付き合っていく人を決めながら個人で働くことができます。
これもその状態をプレッシャーと感じるか、自由で気楽と感じるか、性格が出ますが、選択肢の一つに営業があることは覚えておいて欲しいと思います。
相談あればお気軽にDMまで
ここまで読んでいただきありがとうございます。
私自身、先輩営業マンに助けられ、独立まで辿り着いています。
もしこの記事を読んだ人の中に、私に相談したいという人がいれば、ぜひコメントかTwitterのDMでご連絡ください。
できる限り力になります。
営業力は必ずあなたを助けます。一緒に頑張って行動していきましょう!
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