- 職務経歴書の書き方が分からない
- 職務経験の棚卸しと言われても、そのやり方が分からない
- 自分には大した実績もなく、職務経歴書に書く内容がない
このように、職務経歴書は転職活動で必須にも関わらず、「作成ができない。書くことがない。」と、悩みを抱えている営業マンは非常に多いです。
私は現在、営業スキルを活かして独立していますが、それまでは会社員として働き、外資系コンサルティングファームへの転職も経験しています。実は職務経歴書の作成は、転職において重要なのはもちろんのこと、独立においても自己分析という観点から非常に大切です。
この記事を読めば、職務経歴書で記載すべき内容と、記載内容に困った場合に役立つ考え方のコツがわかります。
私は職務経歴書の記載に困ったことはないですが、それは優れた成績があったからではありません。平凡な成績でもこの記事の考え方を知っていれば、難関と言われる外資系コンサルティングファームへの転職ができるような職務経歴書にすることも可能なのです。書類審査でこれ以上落ちたくない人、転職活動を有利に進めたい人は是非最後まで読んでください。
営業が転職する際の職務経歴書を書く際に意識すべきこと
職務経歴書は営業にとって、強力な武器かつ、面接の進め方を決める台本のようなものです。
営業は話すことや、自分をアピールすることが得意な人が多い傾向にあります。ただし、職務経歴書がイケてない場合、面接の場でそのスキルを発揮する前に勝負が決まってしまいます。
まずはなぜそこまで職務経歴書が重要になるのか、その点をご説明します。
職務経歴書は、最低限提出すべき資料ではありません。あなたの転職を成功に導く強力な武器です。
職務経歴書は営業にとって、強力かつ必要不可欠な武器
営業にとっての職務経歴書は非常に強力かつ必要不可欠な武器です。
なぜそのように言えるのか、それぞれの要素を解説します。
非常に強力な武器
営業以外の職種の場合、現職では明確な数値化された目標が設定されていない、あるいは設定されていてもチームで達成する目標であることが多いです。そのため職務経歴書を書く際に書くべき項目が見つからず、非常に苦労する、という話をよく聞きます。
一方で営業の場合、明確な売上目標が設定されていることが多く、個人プレーの要素も強いため、自分の数字として実績を語ることができます。また、様々な活動があり、その活動ごとに目標も設定されているため、記載する内容に困らないです。
このように、記載できる内容の数が圧倒的に多く、質も高いことが、非常に強力な武器、と言える理由になります。
必要不可欠な武器
ただ一方で、営業には何か転職に強い資格があるわけではなく、かつスキルも可視化しにくいです。
- エンジニアであれば〇〇というコードでプログラムを書くことができる
- 法務であれば、法律関係の資格を有している
などのように、客観的に見てわかりやすい資格やスキルがあります。一方で営業職では、
- 提案力
- コミュニケーション力
など、聞いたことはあるけど、その実力を数値化することが難しいスキルがメインとなります
よって職務経歴書を使って、これまでの経験や実績をアピールすることが必要不可欠となります。
可視化しにくい営業のスキルを可視化するためのツールが、職務経歴書なのです。
職務経歴書は面接の台本の役割も果たす
職務経歴書の使い方として意外と知られていないのが、面接の台本の役割も果たす、という点です。
「面接の主導権は面接官が握っており、求職者側でコントロールすることは不可能」と考えている人は間違っています。
面接官は職務経歴書を確認し、その内容を前提としてあなたを面接するため、面接で聞かれるのは職務経歴書から連想できる内容に絞られます。
よってあなたが面接で語りたい内容が質問されるように職務経歴書を作成することで、面接の主導権をあなたが握ることも可能となります。
営業の転職で職務経歴書に記載すべきこと
営業の転職で職務経歴書に記載すべき点は主に以下の3点です。
- 何を誰にどのように売っていたのか
- どのような結果を出したのか
- 結果を出すためにどのような工夫をしたのか
この3点は営業の成果を正しく認知してもらうために必須となるため、漏れなく記載してください。
何を誰にどのように売っていたのか前提を記載する
基本的なことではあるものの、意外と忘れられているのが、”何を”、”誰に”、”どのように”営業をして売っていたのかという基本情報の記載です。
求職者本人は、「営業をしていた」ということで、何をしていたか、という点について共通認識ができると考えがちです。
ただ一言に営業といっても、仕事内容は千差万別です。まずは自分の仕事内容を正しく理解してもらうことが、面接で認識齟齬を避けるための第一歩になります。
具体的には以下のような内容を記載すると認識を合わせることができます。
- 商品:どのような商品を扱っていたのか。有形or無形、売り切りorサブスク、など
- 顧客:どのような顧客に販売していたのか。BtoB営業orBtoC営業、大手企業or中小企業、など
- 営業手法:どのようにして営業していたのか。対面営業or電話営業、ルート営業or新規開拓営業、など
このように、様々な種類の営業が考えられるため、基本的な部分で認識齟齬が出ないように、丁寧に記載しておく必要があります。
企業側としても、自社商材や営業手法との親和性を確認しておきたいので、基本情報を漏らさず記載することが重要です。
結果を数値で表す
営業は結果が数字で見えやすい職業です。その利点を活かすことは必須転職活動を有利に進める上で非常に重要になります。
逆に数字で結果を表すことのできない営業マンは、「基本的なことができない人」と考えられてしまいます。
- 売上目標とその達成率
- 売上目標を達成するためのKPIとその達成率
これらの数値は少なくもと記載すべきです。
ここで重要なポイントは、売上目標という大きな目標に対して、それを達成するための小さな目標も合わせて記載する、ということです。
大きな目標を因数分解して行動目標に落とし込む能力は全ビジネスマンに必須のスキルです。この点をしっかりと伝えることで、あなたビジネスマンとしての基礎スキルの高さも示すことができます。
売上だけを見せられても、行動までま見えてきません。結果とプロセス、どちらも記載することを意識しましょう。
結果を出すための工夫や努力を記載する
営業はどんなに結果を数値で表していても、結局は運や勢いで出しただけで、再現性がないと見られることが多いです。
再現性がない、というのはイコールあなたが転職先で同じ結果を出すことは難しい、と考えられている状態です。このような見られ方をしてしまうと、転職活動が一気に不利になります。
そこで大切なのが、いかに論理的に考えて、どのような工夫をして結果を出したのかを書くことです。
運や勢いではなく、考えた結果であることが示れば、あなたが新しい環境でも同じような行動で結果を出せる可能性を示すことができます。よって結果を出すための工夫や努力は必要不可欠な要素です。
営業が職務経歴書で転職を有利に進めるためのコツ
先ほど説明した3つの要素を効果的に伝えるためのコツがあります。
- 売る能力以外もアピールする
- 様々な角度で実績を記載する
- 人生のストーリーとリンクさせる
他の候補者と差をつけるために、ぜひこのコツを使って、あなたの経歴を記載してください。
「売る」能力以外もしっかりとアピールする
営業=売ることが仕事、というイメージが強く、実績も示しやすいため、営業に関する結果のみに焦点を当てがちですが、これは間違いです。
営業の仕事は「売る」ことだけではありません。
- 社内の多岐にわたる部門間の調整をする
- お客様からのニーズを開発部門へフィードバックする
- チームのマネジメントをする
- 新人営業マンを育成する
などなど多岐にわたる仕事があります。直接的に売上に繋がった仕事だけでなく、これらの仕事もしっかりと記載する必要があります。
なぜなら営業のスペシャリスト、といえば聞こえはいいですが、それしかできない人と認識されるのは避けた方が無難なためです。
本記事の中で説明したように、営業と一言で言っても、その内容は多岐にわたります。そのため、優れた営業マンが2人以上いる場合、その優劣をこれまでの結果や、営業スキルだけで判断することは難しいです。
そこで重要になってくるのが、組織にどのようなメリットをもたらすことができるのか、という点です。この点を証明するために組織運営や教育などの視点が大切になります。
一つ注意する点としては、営業と全く関係のない内容では、あまりアピールになりません。あくまで営業というコアな強みを伸ばしつつ、自分の仕事の範囲を広げて貢献してきた、という点を押し出す必要があります。
物を売るスペシャリストと営業のスペシャリストは異なります。是非皆さんは営業のスペシャリストを目指してください。
営業成績に自信がない時は角度を変えて数字を探す
営業成績があまり良くない人の場合、様々な角度から自分の業務を分析する必要があります。
そもそも全ての営業マンが優秀な成績を上げているわけではないと思います。ただ成績が良くないと、職務経歴書でアピールができないのかと言えば、そんなことはありません。
- 他の人、または業界水準よりもリピート受注が多い
- 他の人、または業界水準より高額案件が多い
- 他の人、または業界水準より受注件数が多い
など、会社で用意された評価指標以外でも、どこか秀でている部分から強みを語ることができれば問題ありません。
ただし、その数字はあなたが狙って出した数字(=工夫して出した数字)であることが重要です。
例えば、他の人よりもリピート受注が多いとします。
その背景に以下のような目的や工夫があれば評価されます。
【目的】
成長市場から成熟市場に移行していることから、新規顧客を狙った営業方法が年々難しくなる。
今後はお客様のLTVを意識した営業が必要になることから、既存顧客のフォローに力を入れる。
【工夫】
定期的な既存顧客へのアプローチや、お客様の行動特性に合わせた新商品の紹介に力を入れた。
このように、自身の強みを語ることができれば、会社の評価指標上は成績が良くなくても、職務経歴書ではアピールすることが可能になります。
人生のストーリーとリンクさせる
職務経歴書はあなたのこれまでの歴史ですが、それが一つのストーリーになっていることが望ましいです。
更に言えば、そのストーリーは自分の将来の夢や目標と重なっていると非常に強いです。
あなたは志望理由やキャリアプランを面接の中で聞かれルはずです。その際にもあなたは将来の夢や目標を前提とした回答をする必要があります。ここではどのように回答すべきかは割愛しますので、詳しくは以下の記事をご確認ください。
この時、あなたの職務経歴書が、あなたの語るキャリアプランや夢と外れていた場合、
- 計画性なく生きてきた人
- 語ったキャリアプランや夢はその場しのぎの嘘
というように扱われる可能性が高く、面接でかなり鋭く突っ込まれる可能性が高いです。
こういった事態を避けるためにも、職務経歴書は一つのストーリーになるように作成し、面接で語る内容とも整合性をとっておくことが非常に重要になります。
営業が職務経歴書の質を上げるために転職活動前からやるべきこと
職務経歴書の質を上げるためには、転職活動を行うか否かに関わらず、日々の行動や意識を変える必要があります。
ここでは私が実際に行っている方法を3つお伝えします。
自分の職務経歴書は転職意思がなくても毎年更新する
転職意思の有無は問わず、職務経歴書を作成し、毎年更新することをオススメしています。
これは私が実際に新卒1年目の頃から行なっている方法で、今学生の人は最初の一年目から、すでに働いている人は今からでもいいのですぐに始めてみてください。
私が職務経歴書の作成で困らなかった一番大きな要因は毎年欠かすことなく更新してきたからだと思っています。
この方法には以下のようなメリットがあります。
- 細かい数字など、後々になると忘れがちな情報も正しく残しておける
- 職務経歴書を更新することで、1年間の振り返りができる
- 職務経歴書に書けるような1年を過ごすようになる
特に3点目は非常に大きなメリットです。
職務経歴書をまとめて作成していると、年次が進むにつれて、あまり大きな成長ができていない、同じような内容ばかりを書いている、という自分に気づくと思います。
毎年職務経歴書の更新をすることで、上記のようなことが起こらないように新しい挑戦をするようになります。その結果として、転職活動に有利な、充実したキャリアを歩むことができるようになります。
あなたの人生において仕事時間の比率は大きいです。それを見直すことは、あなたが理想の人生を歩めているか、確認する作業にも繋がります。
結果=数値で表すことを習慣化する
仕事の結果を数値で表すことを習慣化することも非常に重要です。
これは職務経歴書を毎年更新する、という点にも関係します。仕事の結果をなんとなくの感覚ではなく、客観的な事実として記録していくことが重要になります。
曖昧さをなくし数字で表現できる、ということは、論理的に結果の分析も可能になることを指します。
例えば、売上が良かった、という感覚で結果を判断していると、その原因分析も曖昧なものとなり、再現性の低い要素しか見つけることができません。
一方で、売上が〇〇万円高い、というように数字で理解すれば、そこからどの要素が金額に影響を与えているのか、数字を分解しながら見つけることができます。
その見つけた要素を次のプロジェクトでも活かし、結果を出していくことで、あなたの論理に再現性を持たせることができるのです。
全ビジネスマンに必須の論理的思考能力を伸ばすためにも効果的な方法となるため、是非この習慣を身に付けておきましょう。
結果に対して自己要因と環境要因を分けて整理する
非常に残念ではありますが、営業の結果は100%自分の実力、とはなりづらいのが現実です。
売れるお客様にたまたま当たった、業界的に伸びている期間だった、など、人や環境が結果に影響を与えることは多いです。
もちろんその運を引き込む行動があってこそなので、あなたの実力と語りたい気持ちはわかりますが、面接官にその理屈は通じません。
そこで重要なのは、以下の点を明確に切り分けて分析をすることです。
- どこまでが自分の実力で
- どの部分が運だったのか
- そして運を引き寄せるためにどのような行動をとったのか
運も実力の内ですが、運という要素を認めないのはラッキーパンチを当てただけという印象を与えます。しっかりと客観的な分析を行い、実力と環境要因を分けて説明できるようにしておきましょう。
営業が職務経歴書を書く際は転職エージェントに利用するのが効果的
ここまでは、営業マンが職務経歴書を書く際に気をつけておくべきことをまとめてきました。
この他にも、職務経歴書を記載するためには、基本的なルールやベースとなるフォーマットなども知る必要があります。以下のような基本となる点は、転職エージェントを利用して作成、及びチェックしてもらうことをオススメします。
例えば転職エージェントを使えば以下のような点でアドバイスがもらえます。
- ベースとなるフォーマット
- 記載する際の細かいルール
- 誤字脱字のチェック
- 第3者目線でのアピールポイントの発見
一人で正解が分からない中作業をしても効率が悪いです。営業として書くべきことはこの記事で押さえつつ、基本的な部分はプロの力を利用するのがいいと思います。
おすすめの転職エージェントは以下の三社です。いずれも無料で相談可能なので、是非利用できるものは利用してみてください。
まずはCMなどでも有名なDODAです。何かに特化しエージェントではない分、フラットにあなたの経験を深掘り、アドバイスをしてくれます。どのような方向に進むにせよ、一度は相談してみると、業界トップレベルのサービスを体感できます。
営業職の方で、まだ希望の職種や業界が決まっていない場合は、マイナビ営業AGENTがおすすめの転職エージェントです。営業職の方限定になってしまうのですが、その分営業の悩みをしっかりと理解した提案をしてくれます。
もしすでに営業として、IT業界への転職を希望されている場合、マーキャリをお勧めします。業界を悩んでいる途中だと、もっと色々な業界を紹介してほしいと思う人もいるかと思うので、IT業界への決め打ちをする方にのみお勧めしています。
まとめ
ここまで読んだことを実践いただければ、あなたは職務経歴書を自分の武器として転職活動を有利に進められます。
キャリアの棚卸しは経験豊富なほど大変な作業にはなりますが、転職成功率に直結する要素のため、是非時間をかけて取り組んでみてください。
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