完璧だと思えた営業企画がなぜか上手くいかない
「よし、完璧!」そう思った営業企画が、実行フェーズで上手くいかない、人が動かない、そんな経験を一度はしたことがあると思います。企画に対する上司からの評価もよく、絶対に成功すると思っていた企画がコケる、まさに青天の霹靂です。
きっとこのブログまで辿り着いた皆さんは、日々勉強し向上心を持って仕事をしてきた、優秀な方だと思います。そしてこれはそんな優秀な人ほど起こり得ることです。
よってこの記事では営業企画の立て方は解説しません。立てた企画をどのようにして実行すべきなのか、そこに特化してお伝えしていきます。
営業企画の立て方については別記事にて説明予定のため、お待ちいただければと思います。
寝る間も惜しんで作った企画が実行できない
営業企画を任された皆さんは、文字通り寝る間も惜しんで最高の企画を立案されていると思います。ただし、そのほとんどは実行フェーズで思ったようにメンバーが動かず、躓くことになります。
皆さんは企画に関わる本を読み、インターネット調べ、先輩や上司に相談をする。そのように試行錯誤をしながら初めてとは思えないほど素晴らしい企画を作ることができたとします。実はここまで最初で辿り着く人は珍しくありません。
なぜなら、
- 初めての企画なので、案件の内容自体は簡単なものが多い
- 企画のために多くの時間を使える場合が多い
というように、最初だからこそゆっくり丁寧に、イレギュラーの少ない案件に携わることができます。
ただし、そこから企画を実行に移せる人は一気に絞られていきます。
しかもこれは企画立案の初心者だけでなく、多くの人が陥ることなのです。
なぜなら多くの人は、企画の立案方法については調べますが、企画の実行方法については調べることがほとんどないからです。
人望はあるのに人が動かない
営業で実績のある人は、上司、同僚、後輩への社内営業も上手いため、人望がある人が多いと思います。ただし、そんな人望があるにも関わらず、ほとんどの人が企画では思うように動いてくれないはずです。
むしろ味方だと思っていた人が、裏では反対派、なんてこともザラに起こり得ます。
ただ安心してください。よほど強引なことをしていない限りはあなたのことが嫌いになったわけではありません。これまでと同じように皆さんあなたのことを慕っています。慕っているけれども、企画では動かないそんな矛盾が起こり得るのが営業企画なのです。
この記事を読むとどうなるのか
この記事を読んでいただくと、営業企画でなぜ人が動かないのか、そしてどうすれば人が動いてくれるのか、分かるようになります。
これまで皆さんは、以下のことは学んできたと思います。
- お客様を動かす
- 組織をマネジメントする
その中で、人の心理や行動原理を学べば、ある程度他人をコントロールできることを知っていると思います。
営業企画についても全く同じです。しっかりと学ぶことで、あなたの企画を確実に前に進めることができるようになります。そして企画を想定通り進めることで、営業のプレイヤーではあげられなかった程の成果が得られるはずです!
営業企画を実行するためのヒントは「イノベーター理論」にある
まず結論からですが、人が動かない原因はイノベーター理論にヒントがあります。
マーケティングの世界でよく使われる言葉ですが、この言葉の説明の前に皆さんに質問があります。
本当に全員が動いていなかったのか
企画をスタートした時、人が動かない、と多くの人が考えていると思います。
では本当に一人も動いていなかったでしょうか?
おそらく少数の人はあなたの企画のために動いてくれたのではないでしょうか?
それも無理矢理ではなく、生き生きとして楽しんでいたと思います。
大部分が動かず企画は失敗したが、少数は協力してくれていた、この事実がどの企画でも起こり得る事象です。
イノベーター理論と企画実行の関係は?
さて、ここでイノベーター理論が役に立ちます。イノベーター理論は新製品や新サービスに対する理論ですが、営業企画で人が動かない理由もこれと全く同じだと思っています。
簡単にいうとこの理論は、新しい製品、サービスの市場への普及率を表したマーケティング理論となります。この理論の中では新しい製品やサービスへの人々の反応は以下の5パターンに分けられると定義しています。()内はそれぞれを占める割合になっています。
- イノベーター(2.5%)
- アーリーアダプター(13.5%)
- アーリーマジョリティ(34%)
- レイトマジョリティ(34%)
- ラガード(16%)
今回は営業企画との関わりについての説明がメインのため、それぞれのタイプの定義は割愛しますが、ざっくりいうと、上から順番に新しいものが好きで、多少リスクがあっても取り入れたい人たちになります。また上から順番に徐々に新しいものを取り入れていく、というのも特徴の1つとなります。
ここまで説明すればなんとなくお気づきの方も多いと思いますが、営業企画が走り出した時、最初に行動をしてくれた人がイノベーターに当たる人になります。
逆にそれ以外の人は、まだイノベーターが試している段階では積極的には動きません。この人間のタイプと心理をわかった上で企画の実行を行うことが、成功への鍵となります。
なぜイノベーター理論なのか
イノベーター理論はただの状況説明の理論ではなく、解決策がある理論だからです。
人間のタイプを理解した上で、それぞれ段階的に普及を進めていくことで、多くの人を巻き込むことができると証明されています。
具体的なイノベーター理論の活かし方
具体的なイノベーター理論を活かした企画の進め方は以下の通りです。
- 新しいことが好きなメンバーから始める
- 失敗は内部で解決し、成功は大きく周知する
- 少しずつ巻き込む範囲を増やしていく
- 過半数を超えた時点で公式な企画として動き出す
それぞれ具体的な方法をご説明します。
新しいことが好きなメンバーから始める
新しい企画は、必ずスモールスタートで初めてください。
スモールスタートとは、部署全体の営業企画だったとしても、数人レベルでの活動から始める、ということです。いわゆるテストマーケティングのように新しい企画のテストをするイメージです。
この時気をつけてほしいのは、適性がある、能力がある、ではなく、積極的に参加をしたい人を巻き込むということです。
実力がある人で最初の成功事例を作りたい、という気持ちもわからなくないですが、以下の理由からあまりお勧めしません。
- やる気のない人では実力を出しきれない
- 最終的には誰にでもできるレベルに昇華すべきなので、レベルが低い人で試すのも一手
お気づきだと思いますが、まずはイノベーターの層を集めるというのがこのステップです。
失敗は内部で解決し、成功は大きく周知する
新しい企画は、失敗も成功も必ず存在します。そんな時は、成功だけを他メンバーに大きく周知するようにしてください。
イノベーター以外の人は少なからずリスクを嫌います。なので失敗というリスクを見せてしまうと、企画に参加する意欲が失われてしまいます。この状況を避けるために、成功のみを周知するのです。
ただし、失敗を放置するわけではありません。失敗した要因は内部で速やかに消してください。これはイノベーター以外の人が参加する時に、失敗が立て続けに起こると気持ちが離れる可能性が高いためです。そして一度離れると、もう失敗を隠すことはできず、企画参加へのモチベーションを上げることは困難になるでしょう。
少しずつ巻き込む範囲を増やしていく
成功の噂が広まったタイミングで、次の仲間を見つけます。ただし、失敗要因が取り除けていない場合はそちらの解決を優先してください。
成功の噂が広がりだすと、徐々に前向きな意見が聞けると思います。そんな時、直接あなたに声をかけてくる人物がいれば、それはアーリーアダプターであることが多いです。
このアーリーアダプターを巻き込めるかどうかが一つの鍵になります。
なぜなら、イノベーターの方たちはリスクを恐れない=失敗も多い傾向にあり、社内での信頼度は高くありません。
一方アーリーアダプターは、リスクを避けつつ、新しいことにも挑戦するタイプのため、優秀な成績を収めることが多く、社内での信頼度も高いことが予想されます。このように影響力のある層を加えて、さらにテストを進めていきます。
過半数を超えた時点で公式な企画として動き出す
そして最後に、参加人数、あるいは参加希望人数が半数を超えた時点で本格始動します。
この過半数、というのがコツです。なぜなら、リスク思考の人=少数派にはなりたくない、多数派へ追従したい精神が働くためです。そのためこのタイミングで本格始動をすれば、ほぼ全員が同じ方向を見て走りだすことができます。
ただほぼ全員、と記載したように、全ての人を巻き込むことは難しいです。ただし、ラガードのような、非挑戦思考の方はそもそも優秀な層にはあまりいないため、それほど気にする必要はないでしょう。
営業に自信が出たら取組むべきこと
営業は一つの会社で留まっていてはいけません。営業として本当に成功を掴むなら、転職or独立をするしかないです。
なぜこのような結論になるのかは、今後より具体的な記事で紹介しますが、そういった選択肢を頭に置いて、まずは結果を出せるように成長していきましょう!
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